今回の事例は、「安いだけで税理士を選んでしまえば色々なところで後から問題点が発生してしまう」ということについて私が体験したことを書いておきます。

ある経営者様から、顧問の変更ということで当事務所がご依頼を受けました。

もちろん経営は以前から続いておりますので、決算書などの引き継ぎを行っていただくのですが、

「前任の顧問税理士に必要な書類を一式もらっていただけますか?」

とお願いしましたところ、

「顧問契約の終了した会社には一切のサービスを行っていないので対応は致しませんと断られました」

と仰られていました。

仕方がないので、社長が手持ちのデータや決算書類関係から整理を進めていったところ、科目の内訳が全く付いていないということも分かりました。

また、保証金の1,000万円が不明となっているという事態も判明したのです。

経営者ご自身が、決算の中身や税理士の行っている申告書類・会計書類をチェックしておかなければ、非常に雑な状態で決算をまとめられていることもあるということに気付かされた事例です。

この経営者の方はインターネットで安価を謳っている税理士サービスを検索で見つけ、すぐに顧問契約を結び、税理士業務をお願いしていたということです。

税理士は自社の従業員の健康保険関係の書類や、社長の領収書、従業員の個人情報など、様々な会社の重要情報・機密情報を扱う責任のある仕事です。

そのためネットで検索して安価なサービスを選んでしまったり、誇張している広告表示をそのまま受け入れて申し込んでしまったりすると、後で非常に大変な目に遭ってしまうこともあります。

一旦選んだ税理士はなかなか後から変更がしにくいということも踏まえまして、あなたのとの相性やその先生の実績や人格を出来る限り重視することがお勧めです。

そのためには顧問契約を結ぶ前に何度か事務所にお伺いに行ったり、会って話を聞いたりすることで、人となりを十分に観察し問題ないと判断できてから契約の流れに進んでいくようにしましょう。

この事例の経営者も、後で保証金1,000万円が不明となっている点などもかなり困っておられましたし、当事務所としましても前任の担当者がどのような処理をしていたかどうかも分からない中、様々な選択肢を考え、ベストな選択をご提案し、実行していくところで、非常に時間の掛かる大変な事例でもありました。

もちろん安価なサービスすべてが悪いということではありません。

ただ、安価な税務サービスを選ぶことによって、一番大変になるのは申し込んだ経営者ということになりますので、これはやはり選ぶ所ではきっちりと人となりを判断しておくべきだったと感じました。

税理士には会社の財産を預けることになりますので、経営者の目でしっかりと人物を確認してから、顧問契約を結んで欲しいと切に思った事例でもありました。

太田拓プロフィール(事例)